〈商いの味〉
千円の資本で千円の商売をするやり方は事業をつぶす危険があると言わざるをえんな。
千円の資本で八百円の商売をするときは、商売は小さいが手堅いといえる。この手堅い商売といわれるところに商いの味があり益があるのさ。
ところが、世間の人は、百円の元手で二百円の商売をする人を働き者と誉めているようだが、とんでもない間違いなんだな。
〈本当の商売のやり方〉
『おのが子を恵む心を法とせば、学ばずとても、道にいたらん』
つまり、天は日光、空気、雨など生きるに役立つものを我らに下し、地は、それを受けて動植物を発生させ、親は損得を忘れ、一筋に子を育て、その成長を楽しむ。子は育てられて両親を慕う。夫婦の間も互いに助け合い、楽しみ合って子孫が相続していく。農夫はよく働いて作物の生育を楽しみ、作物もまた喜んでよく育つ。皆どれも双方苦情がなく、喜びの情ばかりだ。
さて、この道に従えば、商売では、売って喜び、買って喜ぶようにせにやあならん。売って喜び、買って喜ばないないのは道ではないんだぞ。
貸し借りの道も同様だ。借りて喜び、貸して喜ぶようにすべきだな。借りて喜び、貸して喜ばないというのは道ではないんだ。
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