中村天風 No.16
〈美しさと調和〉絶対調和の状態こそ、美というものの本当の姿なので、調和のないところに完全のないのと同様に、調和のないところに本当の美はないのである。もっと極言すれば、美しいという言葉はしっくりと調和しているという言葉の代名詞で、さらに美しいというのは完全だということにもなるのである。どんな思想でも主義でも、また計画でも設計でも、調和を無視し没却された考慮では、とうていその完成は現実化されないのが当然の真理なのである。〈本能の盲動〉人間の運命というものは、油断すると、常に本能と手を組んで歩こうとしているものなんだ。そして、消極的な出来事はたえず、不用意な人々の周囲を徘徊してるんだよ。だから、外部運命の力をほどよく制御したいならば、自己の本能の盲動を正しく制御しなきやならない。
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