有名な話ではある。
中国、唐時代の詩人白楽天が鳥か道林禅師に
「仏教の真髄を教えてください」とお願いすると、「諸悪莫作、衆善奉行-善いことはすすんで実行し、悪いことはしないように」と、答えられた。
白楽天は不興げに「三才の童子でも知っています」
と言うと道林禅師は
「三才の童子が言うことができても、
八十才の翁も実行することはできないのだ」
と、お諭しになったという。
人は誰からも善悪を教わらないで育つと、
平気で悪行もできる。
殺人をおかし、死刑囚となった島秋人は
三十三才で死刑台の露と消えたが、
監獄で仏教書に出合い
初めて人の道というものに触れ、
何処で人の道を踏み外したか、
天の道というものがあることにも気づかされた。
嘘ひとつ 言い得ぬほどに
変わりたる 身の愛しさを 尊く覚ゆ
世のために なりて死にたし
死刑囚の 眼はもらひ手も なきかも知れぬ
彼は、死と向かい合うことでこの境地に
たどり着くことができたのだろう。
私たちは人生の多くの場面で気づき、
学ぶことで、やっと人と呼ばれる者になれるようだ。
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